家の軒下などに蜂の巣を見つけた時、多くの人がパニックに陥り、「スズメバチかもしれない!」という最悪のシナリオを想像してしまいます。しかし、住宅地でよく見かける巣の多くは、実はアシナガバチのものです。両者は攻撃性や危険度が大きく異なるため、自分で駆除するか、業者に依頼するかの判断を下す上で、その巣の主がどちらなのかを正確に見極めることは、極めて重要です。まず、最も分かりやすい違いは「巣の形」です。アシナガバチの巣は、お椀を逆さにしたような形や、蓮の実、あるいはシャワーヘッドのような形状をしています。下から見上げると、たくさんの六角形の巣穴がむき出しになっており、その中でうごめく幼虫や蛹の姿を直接見ることができます。巣の色は灰色や茶褐色で、外壁に覆われていないのが最大の特徴です。一方、最も危険なスズメバチの巣は、初期段階ではフラスコを逆さにしたような形をしていますが、巣作りが進むにつれて、ボールのような完全な球体になります。表面には、木目のような、あるいは貝殻が重なったような独特のマーブル模様が見られます。巣は頑丈な外皮で覆われているため、アシナガバチの巣のように中の巣穴を見ることはできません。出入り口は、通常、下の方に一箇所だけです。この「マーブル模様の球体」を見つけたら、それは紛れもなくスズメバチの巣であり、素人が手を出せるレベルではありません。絶対に近づかず、速やかに専門の駆除業者に連絡してください。次に、「蜂の見た目」でも区別できます。アシナガバチは、その名の通り後ろ脚が長く、飛ぶ時にその長い脚をだらりと垂らしているのが特徴的です。体つきはスズメバチに比べて細身で、動きも比較的ゆったりしています。対照的に、スズメバチはずんぐりとした体型で、直線的に素早く飛び回ります。巣の形と、蜂の飛び方。この二つのポイントを冷静に観察すれば、見えない敵の正体は明らかになります。正しい知識が、あなたをパニックから救い、適切な次の一手へと導いてくれるのです。
その巣、本当にアシナガバチ?スズメバチとの見分け方