お部屋に潤いを与えてくれる大切な観身植物。しかし、ある日ふと葉に触れた瞬間、白い小さな羽虫がフワッと一斉に飛び立ち、がっかりした経験はありませんか。その小さな白い飛行物体の正体は、「コナジラミ」という植物の害虫です。体長はわずか1~2ミリ程度で、その名の通り、白い粉をまとったような姿をしています。特に、ポインセチアやハイビスカス、きゅうりやトマトといった多くの植物に寄生し、一度発生すると瞬く間に増殖する非常に厄介な存在です。コナジラミは、植物の葉の裏にびっしりと群生し、口針を突き刺して師管液(植物の栄養分)を吸い続けます。これにより、植物は栄養を奪われて生育が悪くなり、葉が黄変したり、枯れてしまったりします。しかし、彼らの被害はそれだけではありません。吸汁の際に排泄する甘い液体(甘露)が、葉の表面に「すす病」という黒いカビを発生させる原因となります。すす病は光合成を妨げ、植物の健康をさらに損ないます。また、植物のウイルス病を媒介することもあり、見た目の不快感以上に、植物にとっては致命的な敵となり得るのです。コナジラミの駆除は、早期発見と根気強い対策が鍵となります。まず、家庭で簡単にできる物理的な対策として、市販の黄色い粘着シートを鉢の近くに設置する方法があります。コナジラミは黄色に誘引される習性があるため、面白いように捕獲することができます。また、牛乳を水で薄めたものをスプレーし、乾いてから洗い流すという民間療法もあります。牛乳が乾く際に膜を作り、コナジラミを窒息させる効果が期待できます。葉の裏に潜んでいる成虫や卵を洗い流すイメージで、定期的に葉水(葉に霧吹きで水をかけること)を行うのも、発生予防として非常に有効です。もし、これらの方法で数が減らない場合は、薬剤に頼るしかありません。園芸店で、コナジラミに効果のある殺虫剤(オルトランなど)を購入し、説明書に従って正しく使用してください。大切なグリーンを白い悪魔から守るために、日々の観察とこまめなケアを怠らないようにしましょう。