家の中で、あの無数の脚を持つ虫に遭遇してしまった時、恐怖と混乱で頭が真っ白になるのは仕方のないことです。しかし、その後の行動が、あなたの安全と精神的な平穏を左右します。相手の正体を見極めた上で、それぞれに合った正しい対処法を冷静に実行することが求められます。まず、相手が細長い脚を持ち、電光石火の速さで動く「ゲジ」であった場合。思い出してください、彼はゴキブリなどを食べる益虫です。直接的な害はほとんどありません。もし、ほうきやちりとり、あるいは長い棒などを使って屋外に優しく誘導できるのであれば、それが最も理想的な対処法です。しかし、その見た目からどうしても共存できない、あるいはパニックでそんな余裕がないという場合は、躊躇なく殺虫剤を噴射しましょう。熱湯をかけるのも非常に効果的です。次に、相手が平たくて脚が短く、ウネウネと進む「ムカデ」であった場合。これは緊急事態です。絶対に素手で触ったり、叩き潰そうとしたりしてはいけません。反撃で咬まれる危険性が非常に高いです。まずは落ち着いて距離を取り、殺虫剤を準備します。ムカデは生命力が強いため、数秒間、集中的に噴射し続けてください。殺虫剤がない場合は、熱湯をかけるのが最も確実です。60度以上のお湯で即死させることができます。死骸を処理する際も、毒針は残っている可能性があるため、必ず火ばさみやトング、厚手のゴム手袋を使用してください。最後に、筒状の体でゆっくりと進む「ヤスデ」の場合。彼らは無害ですが、潰すと不快な臭いを放ちます。殺虫剤を使うのは過剰防衛と言えるでしょう。最もスマートな対処法は、ほうきとちりとりで静かに集め、屋外の植え込みや土のある場所に逃がしてあげることです。いずれの場合も、共通して言えるのは、パニックになって大騒ぎしないこと。あなたの動きが激しいほど、彼らも警戒し、予測不能な動きをします。まずは深呼吸をして距離を保ち、相手をよく観察し、適切な武器を選択する。その冷静な判断力こそが、この不快な遭遇戦を制するための最大の鍵となるのです。
もし遭遇したら?ゲジゲジみたいな虫の正しい対処法