「ゲジゲジみたいな虫だから大丈夫だろう」その油断が、激しい痛みを伴う悲劇を引き起こすことがあります。ムカデに咬まれた時の痛みは強烈で、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性さえはらんでいます。万が一、その鋭い牙の餌食となってしまった場合に備え、正しい応急処置の方法を知識として身につけておくことは、被害を最小限に食い止めるために非常に重要です。まず、咬まれた瞬間にやるべきことは、可能であればそのムカデを確実に殺処分することです。パニックで逃してしまうと、家のどこかに潜み、再び被害に遭う可能性があります。安全を確保した上で、速やかに傷口の処置に移ります。STEP1は「洗浄」です。すぐに傷口を、石鹸を使って流水でよく洗い流してください。これにより、傷口に付着した毒液や、二次感染の原因となる雑菌を洗い流します。この時、傷口を強くこすらないように注意しましょう。STEP2は「毒の不活性化」、つまり「温める」ことです。これはハチに刺された時の「冷やす」という処置とは逆なので、絶対に間違えないでください。ムカデの毒に含まれる酵素は熱に弱い性質を持っています。火傷しない程度の、少し熱めのお湯(43~46度が理想)に患部を浸すか、シャワーを当て続けることで、毒の働きを弱め、痛みを和らげることができます。これを最低でも15分以上は続けてください。手元にお湯がない場合は、温かいペットボトルやカイロ、ドライヤーの温風などを当てることでも代用できます。STEP3は「薬の塗布」です。温熱処置が終わったら、傷口の水分を優しく拭き取り、抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた軟膏(虫刺され用の薬など)を塗布します。これにより、炎症とかゆみを抑えることができます。通常、これらの処置で痛みは数時間、腫れは数日で治まりますが、もし、咬まれた箇所の腫れが異常にひどい、全身にじんましんが出た、息苦しさや吐き気、めまいを感じる、といった症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。これは命に関わる危険な状態ですので、ためらわずに救急車を呼ぶか、速やかに皮膚科や救急外来を受診してください。
ゲジと間違えた!もしムカデに咬まれた時の応急処置