朝起きたら、顔にいくつか赤いブツブツができていて、かゆみもある。蚊に刺された覚えはないし、一体何だろう。そんな原因不明の顔の虫刺されに悩まされている場合、その犯人は、あなたの寝具に潜む「ダニ」かもしれません。ダニによる被害は、蚊のように一目で分かるものではないため、気づかないうちにかゆみや肌荒れを繰り返しているケースが少なくありません。顔に被害をもたらす可能性のあるダニは、主に二種類です。一つは、布団や枕、ソファなどに生息する「ツメダニ」です。ツメダニは、他のダニやそのフンを餌としていますが、間違って人間を刺すことがあります。刺されると、翌日以降に、赤く腫れたかゆみの強い発疹が現れます。特に、頬やフェイスラインなど、寝具に直接触れる部分に被害が集中しやすいのが特徴です。もう一つは、私たちの毛穴に元々住んでいる「ニキビダニ(顔ダニ、デモデックス)」です。通常は無害ですが、皮脂の過剰分泌や免疫力の低下など、何らかの原因で異常繁殖すると、ニキビや酒さ(しゅさ)といった、赤みやかゆみを伴う皮膚炎を引き起こすことがあります。蚊やブユによる虫刺されとの見分け方のポイントは、まず「刺し口」の有無です。蚊やブユの場合、よく見ると中心に小さな刺し口が見えますが、ダニによる皮膚炎の場合は、明確な刺し口がないことがほとんどです。また、症状が現れるタイミングも異なります。蚊は刺されてすぐに症状が出ますが、ツメダニの場合は、刺されてから数時間後~翌日にかけて、遅れてかゆみが出てくることが多いです。もし、毎朝のように顔にかゆみや発疹が現れる、寝室で過ごした後に症状が悪化するといった傾向があれば、ダニの被害を強く疑うべきです。対策の基本は、寝具の徹底的な衛生管理です。シーツや枕カバーはこまめに洗濯し、可能であれば布団乾燥機で高温加熱することで、ダニを死滅させることができます。布団に掃除機をかけるのも有効です。原因が分からなければ、対策も立てられません。しつこい顔の肌トラブルの裏には、見えないダニの存在が隠れているかもしれないのです。