キクイムシとの戦いに勝つためには彼らの生態とライフサイクル、つまり「敵のスケジュール」を把握しておくことが不可欠です。キクイムシの一生は卵、幼虫、蛹、成虫という完全変態のサイクルを1年かけて回しています。私たちが彼らの存在に気づく、つまり木くずや成虫を発見するのは主に春から夏にかけての4月から8月頃です。特にゴールデンウィーク明けから梅雨時期にかけてが発生のピークとなります。この時期、木材の中で約10ヶ月間過ごした幼虫は蛹を経て成虫となり交尾と産卵のために直径1〜2ミリの穴を開けて外界へと飛び出してきます。私たちが目にするあの粉は成虫が脱出する際に木を削ったカスや幼虫時代の糞が穴から押し出されたものなのです。成虫の寿命はわずか10日から2週間程度と短いですがその間にメスは再び木材の導管や古傷、接合部の隙間などに産卵管を差し込み卵を産み付けます。そして孵化した幼虫はまた木材の中へと潜り込み翌年の春までひたすら木を食べ続けるのです。この「見えない期間」こそが被害の実態であり対策が難しい理由でもあります。冬の間は活動が鈍るとはいえ暖かい室内では幼虫は活動を続けていることもあります。したがってキクイムシ対策のベストタイミングは成虫が発生する春先から初夏にかけての時期です。この時期に成虫を駆除し新たな産卵を防ぐことができれば次世代の被害を断ち切ることができます。逆に言えばこの時期を逃して幼虫が潜り込んでしまうと薬剤が届きにくい深部で活動されるため駆除の難易度が格段に上がってしまいます。「木くずが出た時が戦いの合図」ですがそれは既に敵が成長しきって飛び立った後であることも意味します。重要なのは発見したその年に成虫を駆除し翌年以降も継続して監視を続けるという長期的な視点を持つことです。彼らのサイクルを断ち切るには根気強さとタイミングを見極める知恵が必要なのです。
キクイムシ被害はいつ起こる?発生時期とライフサイクル