ある日の朝、掃除をしようとリビングのソファを動かした際、その下に一匹の大きなゴキブリが仰向けで死んでいるのを見つけた時の衝撃は、言葉では言い表せないほどの嫌悪感と不安を伴うものです。なぜ、普段はあんなに素早く逃げ回る生き物が、これほど無防備に、しかも死体として横たわっているのかという謎は、その後の平穏な生活を脅かす大きな要因となります。私自身の体験を振り返ると、その死体はまるで「この家にはまだ仲間がいるぞ」という警告を発しているかのように見えました。まず直面するのは、この死体をどう処理すべきか、そしてなぜ死んでいたのかという現実的な問いです。死んでいるからといって油断はできず、死後も体内に卵を抱えている可能性や、死骸自体が他の個体を引き寄せる誘引源になることを考えると、迅速かつ衛生的な処理が求められます。処理を行った後は、なぜその個体が力尽きたのかを分析するために、家の中の状況をくまなく点検しました。調べを進めると、数週間前に設置した置き型の毒餌剤が少し削れていることに気づき、あの一匹は毒を摂取した後に効果が現れ、隠れ場所から水分を求めて這い出した末に、目的を果たせず力尽きたのだという結論に至りました。死体が見つかるということは、毒餌が正しく機能している証拠でもありますが、同時に、それだけのサイズの個体が侵入できる隙間がどこかに存在するという事実を突きつけられたことでもあります。私はその日、キッチンの配管周りやエアコンの導入管、網戸の建付けなど、考えられる限りの侵入経路を徹底的に調査し、数ミリの隙間も見逃さないようパテや隙間テープで塞ぎました。一匹の死体との遭遇は、不快な出来事ではありましたが、結果として家全体の防虫意識を高め、より清潔な環境を構築するきっかけとなりました。死骸を見つけた際に「なぜ」と問うことは、恐怖を克服し、具体的な防御策を講じるための第一歩です。姿を見せないゴキブリがどこかで生きているよりも、死体として現れたことでその存在を清算できたのだと前向きに捉え、二度と同じ不快な遭遇を繰り返さないための徹底した清掃と物理的な封鎖に注力することが、精神的な安寧を取り戻すための唯一の道であると確信しています。