日々の業務で多くの家庭を訪問していると、お客様から「ヤモリがいるからゴキブリもいるのでしょうか」という質問をよく受けます。その答えは、プロの視点から言えば、ほぼ間違いなく「イエス」です。ヤモリは非常に効率的なハンターであり、何の利益もない場所にわざわざリスクを冒してまで侵入することはありません。ヤモリが家の中を徘徊しているということは、そこに豊富な栄養源、すなわちゴキブリの幼虫や卵、あるいはそれらを引き寄せるだけの不衛生な環境があるという動かぬ証拠なのです。インタビューに応じてくれたベテランの駆除員は、ヤモリが見つかる現場の共通点として「隠れた隙間の多さ」を挙げます。ヤモリが通れる隙間は、ゴキブリにとっても快適な通り道であり、断熱材の裏側や天井裏などが彼らのハイウェイになっています。特に最近の住宅は高気密と言われていますが、実は床下や壁内の通気層を通じて、一度侵入を許すと家全体に害虫が広がりやすい構造になっていることもあります。ヤモリはそうした構造の欠陥を熟知しており、ゴキブリの匂いやかすかな振動を察知して、獲物が集中する場所を正確に狙い定めます。また、多くの人が誤解しているのは、ヤモリがゴキブリを完全に絶滅させてくれるという期待です。確かにヤモリはゴキブリを食べますが、彼らも満腹になればそれ以上は狩りをしませんし、ゴキブリの爆発的な繁殖スピードにヤモリの捕食スピードが追いつくことはまずありません。つまり、ヤモリに駆除を任せるというのは、溢れる水に対してスプーンで立ち向かうようなものです。私たち業者が現場で行うのは、ヤモリを追い払うことではなく、ヤモリを惹きつけて止まない「ゴキブリの巣」の全滅です。強力なベイト剤を使用し、連鎖的にゴキブリを駆除すれば、ヤモリは餌を失い、自ずと庭や石垣といった本来の生息地へ帰っていきます。ヤモリを殺す必要はありません。彼らが教えてくれた家の弱点を補修し、餌となる汚れを排除することに注力すれば、自然とヤモリとの遭遇はなくなります。ヤモリは家を不潔にしている犯人ではなく、不潔になっていることを教えてくれる「無償の検査官」なのです。プロとしてアドバイスするなら、ヤモリを見かけたら感謝しつつ、すぐに家の隅々を点検し、本格的なゴキブリ駆除を検討するべきです。それが、結果として最も早く平穏な生活を取り戻す道になるからです。
害虫駆除業者が明かすヤモリとゴキブリの意外な真実