屋外での活動中にアシナガバチに刺されてしまった場合、その後の症状の重さを左右するのは直後の応急処置です。アシナガバチの毒性は即効性が高く、刺された瞬間から体内への拡散が始まるため、一分一秒を争う対応が求められます。まず、刺された直後に最も優先すべきは、速やかにその場を離れることです。アシナガバチの毒液には警報フェロモンが含まれており、巣の近くであれば仲間のハチが興奮して集団で襲ってくる可能性があるからです。安全な場所に避難したら、次は傷口の洗浄と毒の排出を行います。理想的なのは、ポイズンリムーバーを使用して物理的に毒液を吸い出すことですが、手元にない場合は、指で強くつまんで毒を絞り出してください。この際、口で吸い出すのは絶対に避けるべきです。口内に傷や虫歯があると、そこから毒が吸収されて全身に回るリスクがあるためです。洗浄には水道水などの清潔な流水を使用し、毒液に含まれる水溶性のタンパク質を洗い流します。冷水で冷やすことは、血管を収縮させて毒の拡散を遅らせ、痛みを緩和させる効果もあります。処置が終わったら、抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた軟膏を塗布し、患部を安静に保ちます。ここで注意が必要なのは、アンモニアを塗るという古い民間療法は全く効果がないばかりか、皮膚を痛める原因になるため行わないことです。アシナガバチの毒性は酸性ではありませんので、アルカリ性のアンモニアで中和されることはありません。処置後、少なくとも三十分間は安静にし、体調の変化に細心の注意を払ってください。もし、全身の蕁麻疹、呼吸の苦しさ、激しい動悸、めまいなどの症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの初期症状ですので、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。また、以前にハチに刺された経験がある方は、反応がより激しく出る傾向があるため、症状が軽く見えても早めに医療機関を受診することが推奨されます。アシナガバチの毒性を侮らず、科学的根拠に基づいた正しい処置を行うことが、最悪の事態を防ぐための唯一の道であることを忘れないでください。