去年の夏の初め、我が家のベランダにアシナガバチが頻繁に偵察に来るようになり、私は何とかして彼らを追い払おうと躍起になっていました。殺虫剤を撒くのは環境やペットへの影響が心配だったため、インターネットで評判の良かったハッカ油を使った自然派の対策を試すことにしたのです。ドラッグストアでハッカ油を購入し、無水エタノールと水で希釈した強力なスプレーを作成しました。最初は、物干し竿やエアコンの室外機の周辺にひと吹きするだけで、あの独特の羽音が聞こえなくなり、やはり天然の力はすごいと感心していました。しかし、数日が経過した頃、私は決定的なミスを犯してしまいました。室外機の裏側に、小さな作りかけの巣があるのを発見してしまったのです。本来であれば専門の業者に相談すべきでしたが、ハッカ油の忌避効果を過信していた私は、このスプレーを直接巣に吹きかければ、蜂が嫌がってどこかへ逃げていくだろうと考えてしまいました。夕暮れ時、私は完全な防護もせずに、スプレーを手に巣に近づきました。そして、狙いを定めてハッカ油を勢いよく噴射した瞬間、事態は想像を絶する展開を迎えました。蜂は逃げるどころか、今まで見たこともないような素早い動きで巣から飛び出し、狂ったように私の周囲を旋回し始めたのです。強烈なミントの香りが漂う中で、蜂たちの怒りの羽音が響き渡り、私はパニック状態で室内に逃げ込みました。後で知ったことですが、蜂にとってハッカ油を直接かけられることは、激しい痛みや窒息に近い不快感を与える攻撃そのものであり、彼らの攻撃性を最大に引き出してしまうのだそうです。まさに、良かれと思って行った対策が、平和的な解決とは真逆の逆効果を招いてしまった瞬間でした。幸い刺されることはありませんでしたが、窓越しに見た蜂たちはその後も長時間、攻撃態勢を解かずにベランダを飛び回っていました。この失敗から私が学んだのは、ハッカ油はあくまで蜂に「ここは嫌な匂いがするから、別の場所を探そう」と思わせるための予防策に過ぎないということです。一度住処を決めてしまった蜂に対して、無理やり匂いで対抗しようとするのは、火に油を注ぐような危険な行為でした。もしあの時、殺虫剤を使わずに済ませたいという一心でなければ、もっと冷静に距離を保てたはずです。天然由来という言葉の響きに甘え、相手の習性を無視した行動をとることの恐ろしさを、身をもって体験した出来事でした。それ以来、私はハッカ油を蜂が来る前の予防としてのみ使用し、少しでも巣の気配を感じたら、すぐにプロの手を借りるようにしています。
ベランダの蜂対策でハッカ油が逆効果になった私の失敗談