ベッドに入って眠りについた後、原因不明の激しいかゆみで目が覚める。体の数カ所に、赤い発疹が線状に並んでいる。もし、そんな不可解な症状に悩まされているのなら、あなたの寝室に、最も厄介な害虫の一つである「トコジラミ(南京虫)」が潜んでいる可能性を疑わなければなりません。そして、もしあなたが部屋の隅で、体長1~2ミリ程度の白っぽく半透明な小さな虫を見つけたとすれば、それは悪夢の始まりを告げる、トコジラミの幼虫かもしれません。トコジラミは、夜間、人が寝静まった頃に潜伏場所から這い出し、皮膚から吸血する害虫です。その被害は、単なるかゆみだけでは済みません。安眠を妨げられることによる不眠や、精神的なストレスは計り知れず、日常生活に深刻な影響を及ぼします。成虫は茶褐色で5~8ミリ程度の大きさですが、卵から孵化したばかりの幼虫は、非常に小さく、白っぽい色をしています。空腹時は半透明ですが、吸血すると血液が透けて赤黒く見えるのが特徴です。彼らは、ベッドのマットレスやフレームの隙間、ヘッドボードの裏、壁紙の剥がれ、家具の継ぎ目、コンセントプレートの内部など、ありとあらゆる暗くて狭い隙間に潜んでいます。そのため、日中にその姿を見ることは極めて稀です。彼らの存在を示すサインとしては、吸血被害の他に、シーツやマットレスに付着した血糞(けっぷん)と呼ばれる黒いシミのような糞や、血の跡、独特の甘ったるい悪臭などが挙げられます。もし、これらのサインと共に、白っぽい小さな虫を発見した場合は、決して安易に自己判断で対処しようとしないでください。近年のトコジラミは、市販の殺虫剤に耐性を持つ「スーパー耐性トコジラミ」が主流となっており、素人が中途半端に駆除を試みると、かえって生息範囲を広げてしまい、被害を拡大させる危険性が非常に高いのです。トコジラミの疑いがある場合は、迷わず専門の駆除業者に相談してください。プロによる徹底的な調査と、高温スチームや特殊な薬剤を用いた駆除こそが、この悪夢に終止符を打つ唯一の方法です。
その白い虫、最悪の害虫かも。トコジラミ(南京虫)の幼虫の見分け方