キッチンやパントリーの棚を整理している時、小麦粉や片栗粉、お好み焼き粉などの袋の周りに、まるで粉がこぼれたかのような、非常に微細な白い粉が動いているのに気づいたことはありませんか。もしそうなら、それは単なる粉のこぼれではないかもしれません。その正体は、食品に大発生するダニの一種、「コナダニ」である可能性が極めて高いです。コナダニは体長わずか0.3~0.5ミリ程度と、肉眼ではほとんど見えないほど小さく、その集合体はまさに白い粉のように見えます。彼らは高温多湿の環境を好み、特に梅雨時から夏にかけて活発に繁殖します。そして、彼らが何よりも好むのが、小麦粉や砂糖、パン粉、きな粉といった粉製品、さらには味噌やチーズ、煮干し、チョコレートなど、驚くほど広範囲の食品です。購入した時の袋のまま、クリップなどで口を閉じただけで常温保存している食品は、彼らにとって格好の繁殖場所となります。コナダニの被害は、単に食品が汚染されて不快だというだけでは済みません。コナダニそのものや、そのフン、死骸がアレルゲンとなり、アレルギー性鼻炎や喘息、皮膚炎を引き起こすことがあります。さらに、最も恐ろしいのが、コナダニが大量に発生した食品を、そうとは知らずに食べてしまうことで引き起こされる「パンケーキ症候群(経口ダニアナフィラキシー)」です。加熱してもダニのアレルゲンは消えないため、重篤な場合は呼吸困難や意識障害など、命に関わるアレルギー症状を引き起こす危険性があるのです。もしコナダニの発生を疑ったら、その食品はもったいないと思わず、すぐに袋ごと密封して廃棄してください。そして、発生していた棚や容器は、アルコールで丁寧に拭き上げ、完全に乾燥させます。予防策は、第一に食品の保存方法を見直すことです。粉製品や乾物は、購入したらすぐにパッキン付きの密閉容器に移し替え、冷蔵庫で保管するのが最も安全です。食品庫は定期的に清掃し、換気を行って湿気がこもらないようにすることも重要です。キッチンに潜む白い粉の脅威から家族を守るために、今日からでも正しい食品管理を徹底しましょう。
食品庫の白い粉は虫かも?コナダニの恐怖と安全な保存術