家の中で木材がボロボロになっているのを見つけた時、真っ先に疑うのはシロアリかもしれません。しかしその犯人がシロアリなのかキクイムシなのかによって対策は全く異なります。両者を見分けるための最も分かりやすい手がかりこそが「木くず(フラス)」の特徴です。キクイムシが出す木くずは非常に細かくサラサラとしており色は木材そのものの色に近いクリーム色や薄茶色をしています。指でつまむと小麦粉やきな粉のような感触で風が吹けば舞い上がるほどの軽さです。そして何よりの特徴は木材の表面に空いた直径1〜2ミリの小さな真円の穴から火山の噴火のように盛り上がって落ちていることです。一方、シロアリ(特にカンザイシロアリ)が出す糞は砂粒のように硬く俵型をしており均一な形をしています。色は食べる木材によって異なりますが赤茶色や黒っぽい色をしていることが多いです。またヤマトシロアリやイエシロアリの場合は木くずを表に出すことは少なく代わりに土や排泄物で固めた「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを作ります。つまり「粉状でサラサラ」ならキクイムシ、「粒状でザラザラ」あるいは「土のトンネル」ならシロアリと判断することができます。被害の場所にも違いがあります。キクイムシは主にフローリング、家具、天井板などの広葉樹(ラワン、ナラ、ケヤキなど)の乾いた木材を好みますがシロアリは床下や柱などの湿った針葉樹(マツ、ヒノキなど)を好む傾向があります(カンザイシロアリは乾いた木材も食べますが)。被害の進行スピードも異なります。シロアリは集団で活動するため破壊速度が速く建物全体に深刻なダメージを与えるリスクが高いですがキクイムシは比較的ゆっくりと進行します。しかしキクイムシの場合、成虫が室内を飛び回り人間に不快感を与えるという精神的な被害も無視できません。いずれにせよどちらも家の寿命を縮める厄介な存在であることに変わりはありません。木くずを見つけたら掃除機で吸う前にスマホで写真を撮りルーペなどで形状を確認することが重要です。その小さな粒の一つ一つが敵の正体を暴き正しい駆除方法へと導くための重要な証拠物件となるのです。間違った判断で的外れな薬剤を使ってしまわないようまずは「粉の観察」から始めましょう。