先日、祖母から譲り受けた古いナラ材のチェストをリビングに置いたのですが、数日経つと引き出しの下に不思議な木くずが溜まっているのに気づきました。最初は古いものだから木の破片が落ちたのだろう程度に考えていたのですが、何度掃除しても同じ場所に砂のような細かい粉が現れるのです。不審に思ってチェストの底を覗き込んでみたところ、そこには無数の小さな穴が開いていました。これが、アンティーク家具愛好家の間で恐れられているキクイムシの被害なのだと知ったときは、ショックで言葉が出ませんでした。歴史を感じさせる重厚な家具が、実は中で虫に食べられていたという事実は、大切にしていただけに悲しいものでした。しかし、悲しんでばかりもいられません。放置すれば、リビングにある他のフローリングや新しいテーブルにまで虫が移ってしまう可能性があるからです。私はすぐにアンティーク家具の修復専門家に相談しました。専門家によると、古い家具には長年キクイムシの卵や幼虫が眠っていることがあり、環境が変わった刺激で一気に羽化することがあるそうです。特にラワンやオークなどの広葉樹は彼らの大好物で、一度住み着かれると根絶は大変だと言われました。私が取った対策は、まずは家具を一時的に隔離し、被害のある穴の一つ一つに専用の薬剤を根気強く流し込むことでした。さらに、木くずが出ている周辺の塗装を一度剥がし、浸透性の高い防虫剤を染み込ませる処置も行いました。アンティーク家具の場合、薬剤によって風合いが変わってしまうリスクもありますが、虫に食い潰されて壊れてしまうよりはマシだという判断でした。駆除作業を始めてから一ヶ月、ようやく新しい木くずが出なくなり、平穏な日々が戻ってきました。この経験を通じて、古い家具を購入したり譲り受けたりした際には、まず全体をくまなくチェックし、小さな穴や木くずがないかを確認することがいかに大切かを痛感しました。もし怪しい穴があれば、部屋に持ち込む前に防虫処理を行うのが鉄則です。木くずは不吉な予兆のように感じられますが、早期に気づかせてくれたサインだと思えば、大切な家具を救うきっかけにもなります。皆さんも、愛着のある木の道具から粉が出てきたら、それは中からの助けを求める声かもしれないと思って、すぐに対処してあげてください。
古い家具から落ちる木くずの正体は?