キクイムシによる食害から大切な家具や建材を守るためには、その生態に合わせた適切な駆除技術を実践することが不可欠です。まず重要なのは、木くずが発見された場所を起点として、被害の範囲を正確に把握することです。キクイムシは一度の産卵で数十個の卵を産むため、一箇所で木くずが見つかった場合、その周辺の木材にも既に卵や幼虫が潜んでいる可能性が非常に高いと考えられます。駆除の基本となるのは、市販されている注入式の殺虫剤の使用です。木くずが押し出されてきた穴は、成虫が外へ脱出した後の出口ですが、この穴は内部のトンネルへと繋がっているため、ここから薬剤を深く注入することで、中に残っている他の幼虫や未羽化の成虫に直接ダメージを与えることができます。スプレーを穴に向けて噴射する際は、薬剤が逆流して目に入らないよう十分に注意し、奥まで浸透させるように意識してください。また、穴が開いていない場所でも、木材の表面に殺虫成分を塗布または噴霧することで、これから穴を開けて出てこようとする成虫を仕留めたり、表面に卵を産み付けられるのを防いだりする残効性が期待できます。しかし、表面的な処理だけでは、木の深部に潜む幼虫まで完全に死滅させることは難しいため、定期的な経過観察が欠かせません。もし個人での対処が困難なほど被害が広範囲に及んでいる場合や、貴重なアンティーク家具などで失敗が許されない場合は、プロの駆除業者に依頼し、燻蒸処理や高周波による熱処理などの特殊な技法を検討するべきです。燻蒸処理は密閉された空間で薬剤をガス状にして浸透させるため、木材の細部まで死滅させることが可能です。また、キクイムシの予防策として、新しく家具を購入した際や家を建てる際には、防虫処理が施された木材を選んだり、澱粉含有量の少ない建材を採用したりすることも有効です。キクイムシは木材の澱粉を主な栄養源とするため、乾燥が進んだ古い木材よりも、比較的新しい広葉樹の材を狙う傾向があります。日頃から家具の配置換えの際などに、裏側や底面に木くずが落ちていないかチェックする習慣を身につけることが、被害を最小限に食い止めるための最良の防御策となります。一度の処置で満足せず、翌年の発生シーズンにも粉が出ないことを確認して初めて、駆除が成功したと言えるのです。